本学会は、1993 年 10 月 1 日に設立されましたので、2023 年 10 月 1 日で設立後丸 30 年経った(30 年目に入った)ことになります。従って、『言語文化学会論集』の 2023 年夏号(=60 号)と冬号(=61 号)は、ともにそれぞれ 30 周年記念 1 号と記念 2 号です。
『言語文化学会論集』は、設立後一回も休刊されず、現在まで年 2 回の発行を続けることができたのは、会員の皆様の日頃の研究の成果と言えます。これまでの執筆者の皆様、本学会の研究レベルの向上に貢献していただき感謝申し上げます。
ところで、私は 36 という数字が好きですが、36 に近づくキリのよい 30 という数字が 2番目に好きな数字です。本学会設立 30 周年ということで、30 という数字について雑感を述べたいと思います。
30 という数字は実に不思議です。というのは、1から4までの平方の和となっていますが、その基数と指数を入れ替えたものも 30 となります。
12+22+32+42=30
21+22+23+24=30
その数自身を除く約数の総和が元の数より大きくなるような自然数を過剰数(abundant number)と言いますが、30 は 5 番目の過剰数です。自身を除く約数は、1, 2, 3, 5, 6, 10, 15で、総和は 42 だから 30 よりも大きいので確かに過剰数であることが分かります。ちなみ
に、次の過剰数は 36 です。次が 36 になる 30 の特性として、他に、約数の積があります。全約数を掛け算すると、810,000 となりますが、これは 30 以前の数の約数の積を超えます。30 はこのような数の 12
番目で、36 が次の数となります。
36 繋がりでは、八進法(octal)で 30 を表記すると 36 となることが挙げられます。ちなみに、三十六進法では 30 は U です(アラビア数字以外にアルファベットを用いて表記)。素数との関係で言うと、30 は異なる 3 つの素数の積で表せる最小の数となります。2×3
×5(=30)だからです。
30 番目に関する雑学を少し述べると、原子番号 30 番の元素は亜鉛(zinc)、第 30 代天皇は敏達天皇、アメリカ合衆国第 30 代大統領はジョン・カルビン・クーリッジ・ジュニア(John Calvin Coolidge Jr.)です。
30 個一組のものに関する雑学として、人間の脊椎は約 30 個あり、山手線の駅数は合計で30 駅(2020 年に高輪ゲートウェイ駅が増設されたため)となります。仏教の分野で三十番神(法華経などを守護する神)があります。
30 年祭は、tricennial で、結婚 30 周年は真珠婚式(pearl wedding)です。ちなみに、300年祭は、tricentennial です。
30 について、単位に関係することで、1 か月は約 30 日であることを挙げておきたいと思います。30 日を 1 か月、12 か月(=360 日)を 1 年として、30 年(=360 か月)は、1 世代と言えます。
言語文化学会は、設立 30 周年、即ち、一世代分時間が経過したことを意味します。設立時が赤ん坊であったとすれば、漸く、立派な大人となったと言えるでしょう。会員の皆様のご研究の益々の発展をお祈りいたします。
言語文化学会(英語名: the Japan Association of Language and Culture / 略称 JALC)は、1993年12月18日に、元摂南大学国際言語文化学部教授、芝垣哲夫先生を会長として発足しました。昨年(2013年)の12月18日で、まる20年が過ぎたことになります。 本会の理念は、<2つの「際」(国際と学際)に基づく、言語と文化の領域における、新しくユニークな研究の推進>で、目標は、<文系分野における研究者の育成と日本の学術レベルの向上>です。 本会の学会誌は『言語文化学会論集』(英語名:Journal of Linguistic and Cultural Studies / 略称JOLCS)は、年2回刊行し、本号(20周年記念特別第2号)で通算41号となります。 最も多くの論文を掲載した号は、第14号(=2000年春号)で、掲載点数は27編(内26編が論文、1編が研究ノート)でした。当然この号のページ数も最高となり、454ページになりました。 各号の論文セクションは、平均250ページなので、20年間、年2回刊行してきたことから、現在、本学会の論集は、通算10,000ページを超える膨大な知的財産となっています。この偉業は、ひとえに会員の皆様のご研究の賜物であると実感しております。 本会は、年1回大会を開催しておりますが、昨年度(2013年度)の大会は、第27回大会でした。20回大会でない理由は、設立5年ぐらいまで「研究発表会」という名称であったり、大会を年2回開催したりすることで、大会数に微妙なずれが生じたからです。本学会の会員数は、設立当初12名でスタートし、3年後に100名に達してからは、100名前後を推移しております。退会される方と入会される方が毎年平均5名程度なので、ほぼ一定数を保っています。 本学会が研究対象とする分野は幅広いので、会員数はもっと多く見込めるものと考えております。会員が比較的少ないのは、現会員の紹介などで新会員が増えているのみで、外部に宣伝を行っていないという点にあります。 本学会の会員の広がりは、北は北海道(北海道教育大学など)から、南は沖縄(琉球大学など)まで全国規模です。会員の古賀元章先生(福岡教育大学)が九州支部を設立・運営を推進されたり、中村典生先生(北海道教育大学)が北海道支部を設立される構想を持っておられるので、支部の活動も全国展開を図り、活発化してゆきたいと思います。そのためには、本部と支部の協力体制の構築が、今後の課題となっております。 今後は、ホームページを充実し、同サイト上で会員募集を行うとともに、言語・文化・語学教育関連の雑誌などに、本学会大会の研究発表者募集を掲載することなどを通じて、会員の増加を図りたいと考えております。 このたび、20周年を迎えるに当たり、以下の3つの目標を掲げたいと考えています。 (1) 学会の研究レベルの水準向上に伴う社会貢献度の向上 (2) 学会の広報活動の強化による会員数の増加 (3) 学会のホームページの充実を図ることによる会員相互の意思伝達強化 (1)の目標は、学会としては当然のことで、簡単に言うと「水準の高い研究を推進すること」になります。これは、学会の会員の皆様一人一人の研究の成果が基盤となります。より一層、水準の高い論文のご投稿を期待しております。もちろん、これまで通り、他学会では掲載が難しいかもしれないユニークな論文・学際的な論文・挑戦的な論文なども歓迎しております。 (2)の目標は、「まだまだ本学会が世に知られていないため、言語文化という幅広いジャンルであるにも関わらず、会員数が少ない」ということが現状で、だからこそ、新たな研究分野の会員を求めることが可能であることに関連しています。簡単に言うと「新たな研究ジャンルを専門とする会員の確保」です。本学会の大会では、種々の研究分野の会員が発表を行うので、自分の研究分野以外の発表は新鮮に感じるものですが、益々新鮮な大会を目指すことにつながります。 (3)の目標は、一言で言えば「会員相互のコミュニケーションの深化」です。ホームページ上で会員の論文の公開や執筆された本などの紹介もできる形にしたり、会員同士で情報交換や意見交換ができる仕組みを構築することを目指します。 尚、本年は学会創立21年目を迎えますが、20周年記念としての大会を予定しています。具体的なプログラムは現在企画中です。詳細が決まり次第、ご連絡いたします。 ところで、日本文化においては、数値的な二倍、空間的な二重、時間的な二回、言語的な二拍など、「二」という数字をキーワードならぬキーナンバーとした文化であると、私は考えています。昨年流行ったドラマ「半沢直樹」の倍返し(数値的な二倍)、鏡餅の二段重ね(空間的な二重)、神社の神前の二拍手(時間的な二回)、日本語の「スピコン(=スピーチコンテストの略)」や「セカオワ(=アーティストSEKAINO OWARIの略)」等の言葉(言語的な二拍)などが、その例です。 だから、「二」にまつわる数も重要であると、特に十年一昔と言われる10年の2倍である「二十年」は大きな節目となると思います。人間で言えば、20年は大人への入り口なので、本学会も、大人(真の学術団体)へと脱皮する時期になっていると思います。 設立21年目に突入する本学会にとって、今は大きな転換期だと考えています。本会の更なる発展には、会員の皆様の研究の向上が必要条件です。今後とも、論文投稿・大会発表など、本会の活動への積極的なご参加・ご協力を期待しております。